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赤貝の殻蒸し

正月にはなくてはならない酒のつまみ

ここ山陰では冬になると「赤貝」が出回ります。「赤貝」といっても正式な名前は「サルボウガイ」といい、本赤貝よりも小さめの貝なのですが、その味は滋味に富んでいて、正月の酒の肴としてなくてはならないものです。「赤貝の殻蒸し」は出雲地方独特の調理方法で、少量の調味料液で蒸し煮にする料理のことです。

復活した中海の赤貝

ここ山陰では昔から正月には赤貝が食され、その供給元として中海産の赤貝があり、昭和30年代には、年間1600トンの水揚げを誇る日本一の産地だったのです。それが昭和の高度経済成長期に、干拓事業の影響や水質の悪化などで水揚げ量が減少の一途をたどり、出荷は途絶えて50年頃には絶滅寸前にまで追い込まれたという歴史があります。しかし、平成10年代に中海漁協などが養殖の取り組みを進め、平成25年には出荷再開にこぎ着けることが出来るようになったのです。現在では、中海全域の13カ所で養殖に取り組んでおり、シーズンの知られています水揚げが7~8tになるまでに回復しました。

消費者の”美味しい”に答える養殖

以前は大量に赤貝が自然繁殖していたため、シジミなどをすくう”ジョレン”などで掬い取っていたのではとおもいます。しかし、それだと赤貝が砂や泥を噛んでしまって、食べようとして貝をこじ開けると泥が出て来たり、砂が噛んでいて不評だったのですが、今の中海の養殖方法は、ネット網に入れて海中に吊って育てているのです。ですから砂が噛むことがなく、また水質も改善され、赤貝のエサとなる海藻やプランクトンも豊富なことから実に美味しい赤貝ができるようになっています。稚貝から丁寧に育て、市場に出回るのは2年物のMサイズと3年物のLサイズと徹底した管理下で養殖されています。

中海産の赤貝の旨さは太鼓判

「赤貝の殻蒸し」は山陰地方独特の料理法です。赤貝はその殻の外側が汚れているので、ネットに入れたまま流水下で何度ももみ洗いをしてきれいにします。しっかり水を切って後、鍋に酒カップ1杯、醤油少量、少量の砂糖を入れて煮汁を作り、赤貝を入れて火をつけます。強火のまま炊いていると煮汁が吹いて上がってくるので銀ホイルで蓋をしてホイルが浮き上がる程度の火力で炊いて行きます。30秒して蓋を取り、鍋を振って底と上をひっくり返し再度アルミホイルの蓋をします。アルミホイルが浮き上がってくるので蓋を取り、また鍋を振ります。これを2,3回繰り返しているとほぼ赤貝が口を開けるので完成です。要は蒸し煮の様にして火を通し、熱い所を頂くのですが、これが酒の肴に最高なのです。御飯のおかずにも良く合います。

赤貝の栄養効果

赤貝を含め、貝類にはタウリンが多く含まれていて、血圧やコレステロール値、血糖値を下げる効能が知られています。その上タウリンは肝機能を高める力があります。年末年始の酒席が増えるお父さんにはうってつけの食材です。また鉄分を多く含んでいて、貧血予防の効能もあります。美味しくて栄養効果も高い赤貝は冬の山陰になくてはならない食材なのです。

赤貝の味噌汁

赤貝は殻蒸しだけではなく、意外と思うかもしれませんが、味噌汁にしても美味しいのです。赤貝からいいダシが出るので一度お試しください。

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