ここ山陰では4月から5月にかけてサヨリのシーズンです。スレンダーな女性に例えられる程スマートな魚
サヨリ(細魚)は、寿司ネタに良し、塩焼で良し、吸い物で良し、天ぷらで良しとメニューの広がる魚の
1つですが、魚屋としては漁師が命がけで取った貴重な魚を余すところなく頂きたいという思いから、
今回は、三枚おろしした後の中骨のから揚げをご紹介したいと思います。刺身は旬の味わいで山葵醤油
で頂いて残った中骨に、酒を振り旨みを補ってから、拭いて片栗粉をまぶして160~170℃の油で
じっくり薄茶色になり泡が立たなくなるまで揚げてから塩をふります。カリッとした歯触りで酒の肴に
うってつけです。どんな魚でも中骨は骨せんべいになりますが、青物は癖が気になるところです。そこで
今回のように酒を振りかけて臭みを抜いて旨みを補うのです。魚の栄養は身にあるとおもいがちですが、
皮と骨にこそあるのです。煮魚にしても骨と一緒に煮るから骨から旨みが出て美味しくなるのです。
焼き魚も同じです。骨はカルシウムだけではありません。認識をあらたにして料理してほしいものです。
余すところなく食べれば魚も本望ですし、漁師さんもうれしいはず。貴重な食材を大事に頂いてこそ
お子様の食育にも役立ちます。
サヨリは高タンパク、低脂肪なさっぱりとした魚で、ナイアシン、亜鉛を豊富に含んでいます。
ナイアシンは血行を良くしたり、脳神経の働きをよくすることはもちろんのこと、脂質、糖質の代謝に働くこ
とで、二日酔いを防いでくれる効果があります。
亜鉛は体の免疫機能を向上する働きがあり、味覚にも深く関わっているミネラルで、傷の回復にも影響して
いますのでお子様のおやつに骨せんべいはピッタリです。
カリカリの食感を得るには、160~170℃でじっくり揚げて、冷ましてから190℃でサッと揚げる
二度上げをするのがコツです。