刺身とケン、つま
刺身の主役は新鮮な魚が基本です。できればその日に水揚げされた朝獲れシールの付いたものを買い求めたいもの。そして大根ケンとつまで見栄え良く盛り付けたものがスーパーの鮮魚店等で売られています。
買って帰ったら器を変えて盛り直すことをお勧めします。この時大根ケンをサッと水洗いして血などを洗い落とし、大葉も冷水に解き放してパリッとさせてから盛り直します。和食は目で楽しんで食べるもの、わずかな心使いが味を数倍に引き立てます。更に言えば皿の上に季節の葉などを敷いてから盛り付ければ気分はもう料亭です。
盛り付け方は、向こう側を高く手前を低く、左手前につま(トサカのり等)右手前に薬味(山葵など)が基本です。
賢く魚を買うコツ
スーパー等の鮮魚店でお刺身用の節(ブロック)をお買い求めの方もいらっしゃるかと思います。おろしてあって皮も引いてあり後は切るだけの便利な食材です。魚は切った端から色落ちが始まり、味も落ち始めます。できれば一匹買いをして食べる直前に切り分けるのが一番です。しかしご家庭ではなかなかそうは行きません。
ですから馴染みの鮮魚店を持ち店員と仲良くなることが美味しいお刺身を食べるコツです。「このハマチを3枚に下ろしてちょうだい。片身は皮を引いてもう片身は漬け込みようにカットしてくださいな。アラは適当にカットしておいてね。」と言えばやってくれます。それが私達の仕事ですから。この時の調理代はサービスですからお買い得です。
2回分のおかずを考えて買い求める
一匹ものは割安ですが卸してカットしてパックしていくと少しずつ値が上がって行きます。1匹ものが1000円とすると3枚おろしの後の皮引きのブロックが半身で598円という具合です。お客様も理解していらっしゃるのですが何故か高いパックの方を買い求めて帰られるのです。おそらく1匹は多すぎると思われるからでしょう。だから調理を頼んで翌日のメニュー分も買って帰ることを提案しているのです。
魚屋が繁盛する仕組み
お客様はお買い得で2回分のおかずが買え、店側は仕入れた魚が売れることにより商品の回転率が上がり、その分だけ翌日の仕入れができて、お互いWin-Winなのです。魚は鮮度が命。仕入れた魚の回転率が上がることは鮮度保持の絶対条件なのです。勇気を出して一声かけて仲良くなる努力をするとお得になるわけですからやってみる価値は大いにあります。買いものは1週間単位で献立を計画して上手にお買い求めになることをお勧めします。
魚屋さんはご家庭を応援しています
余談ですが、「前に買った魚は美味しかったわ」とお褒めの言葉を頂ければ店員は喜びます。「そりゃ、奥さんの腕が良かったからですよ」と思わず返しますね、私などは。こんなやり取りがあれば店員は「今度おいでになったら極上の魚を回そう」と思います。私などは単純ですから誉め言葉に弱いのです。
ちなみに同じトロ箱の中にあっても脂の乗りが良いものやそこまではという魚があるのは事実です。遠目からでも看破できる様でないと魚屋は務まりません。