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クロアイ

冬のクロアイ

冬になると魚は脂が乗って来ますが、その中でもひと際味が上がる魚にクロアイがいます。ここ山陰ではクロアイと呼んでいますが、グレ、メジナともいいます。磯に住み着いていて、釣り人には大人気の魚です。ほぼ年中釣れますが、脂が乗るのは晩秋あたりからです。

十六島海苔

ここ山陰は11月になると岩ノリの時期となり、磯への立ち入りが禁止されます。雪がチラつく磯で海女さんたちが岩ノリを摘み取っていきます。岩ノリを寒風にさらして干したものは風味も良く、特に十六島(ウップルイ)という地区で獲れる岩ノリは有名で、風味良く味も絶品です。岩ノリは正月にはなくてはならない海藻で、お雑煮には欠かせないものです。

夏と冬のクロアイ

荒波にもまれて育つ岩ノリを好んで食べるのがクロアイで、この時期のクロアイはしっかりと脂が乗り、風味も良く刺身良し、塩焼良し、煮付け良し、味噌汁にしてもいいダシが出て大変美味です。クロアイは年中釣れますが、夏のクロアイは「磯臭い」と嫌われる傾向にあります。しかし決してそうではありません。私も釣りキチですから良く分かるのですが、クロアイは夏場に小エビななどの甲殻類やゴカイなどを餌としていて良く食べます。夏場は海水温も高く気温も30℃を越します。その上内臓に臭みが強い消化したものを貯めています。ですから夏場釣れたらすぐに腹を開けて「水洗い」ならぬ「海水洗い」をして臓物を取リ除き、クーラーの水氷の中に入れて身を締めておけば臭みがかなり軽減できます。更に言えば首と尾に切れ目を入れて頭を持って尾側に曲げてやると血抜きが出来ます(活締め)ので持ちも断然よくなります。これは釣りたてだからできることですが、一般に朝獲りでも店頭に並ぶまでには4時間は経過していますので、臓物の臭みが身に移るのだと思います。

山陰の大敷網(定置網)で獲れた魚の処理

山陰の海岸は複雑に入り組んでいて魚の住処には絶好の地形なのです。魚の通り道に大敷網を仕掛けておいて早朝に日の出と同時に漁をするのです。獲れた魚を殺菌海水に漬けて魚の鮮度を保つ処理をしていますから、店頭に並んだ時に色落ちしません。身が死後硬直途中のものが並ぶわけですからとても新鮮です。それを刺身にして売っていくのですが、昼前に引いた刺身と午後引いた刺身の味は明らかに違います。朝獲れですら味が変わってくるのですから、魚は鮮度が命なのです。癖のある魚の刺身は「洗い」にして食べると美味しくいただけます。更に美味しくするには氷水に日本酒を盃1杯ほど入れてから洗うと癖が抜け、旨みが増します。

。岩ノリの旨みが移ったクロアイ

寒の時期にこのクロアイを店頭で見つけたら迷わず”買い”です。たとえ3時間経っていても大丈夫。しっかり脂が乗ったクロアイは鮮度の持ちが段違いで良くなります。クロアイは冬の間はこの岩ノリを好んで食べるのです。それに凍てつく程の海中です。冬の荒波で育つ岩ノリは、磯臭みどころか最高の風味付けをしてくれます。「今夜は美味しいお酒が飲めるぞ」と確信してください。お刺身、塩焼、煮付け、アラは味噌汁で、捨てる部位のないのがクロアイです。

通のクロアイの食べ方

クロアイはほんとに美味しい磯魚です。釣りキチを掴んで離さない釣りの面白さもありますが、釣った後の酒が進む魚の筆頭でもあります。お刺身や塩焼、煮付けとなんでもいけるのですが、私は断然味噌漬けをお勧めします。先ほど夏のクロアイは磯臭いの話題になりましたが、気になる方は是非味噌床を用意して漬けてみてください。2日後位に上げて焼いて食べると絶品です。味噌によく合うのです。もちろん冬ならなお美味しいです。それにもう一つご紹介します。お刺身です。鱗を打ったら三枚におろし、腹骨をかいてから皮を引かずに、皮をバーナーで炙って、すぐに氷水にとり、冷ましてから皮ごと刺身にします。「クロアイの炙り」です。元来、魚の旨みは身と皮の間にあるのですから。皮ごと食べる方が理にかなっています。一度お試しください。ついでにもう一品。夏場に釣れたらカルパッチョにするとカルパッチョソースが気になる癖を消してくれます。

クロアイの栄養

クロアイは良質のたんぱく質を持ちながら脂質が少なめで消化吸収がいいので、意外と思われるかもしれませんが離乳食に向くのです。したがって高齢者のおかずとしてもお勧めです。クロアイにはDHA、EPAをはじめ、カリウム、リン、マグネシウム、亜鉛等がバランス良く含まれています。そのため動脈硬化の予防や高血圧などの生活習慣病から身体を守る手助けをしてくれますし、記憶力の向上や、利尿作用、健全な骨、歯の成長を促してくれます。栄養効果にも優れ、釣りとしても大人気のクロアイを、脂が乗るこの時期に是非食べて下さい。

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